婚礼写真は演出が多くなりがちです。「こちらを向いてください」「笑ってください」という指示が続く撮影は、その日の空気を記録するよりも、理想の場面を作ることに近くなります。私がフォトジャーナリズムの手法を基本とする理由は、その日に実際に起きたことを記録したいからです。

フォトジャーナリズムとは何か

フォトジャーナリズムは、報道写真の手法です。被写体に指示を与えず、起きていることをそのまま記録します。婚礼写真にこの手法を適用すると、「気づいたら撮られていた」という自然な一枚が増えます。演出された笑顔ではなく、その瞬間の本当の表情が記録されます。これが10年後に見返したときに、その日の空気を思い出させる写真になります。

演出を最小限にするための準備

演出を最小限にするためには、事前の準備が重要です。会場の下見を行い、光の方向と動線を確認します。どの場所で、どの時間帯に、どんな場面が起きるかを事前に把握しておくことで、決定的な瞬間を逃しません。クライアントとの事前打ち合わせでは、「どんな場面を大切にしたいか」を丁寧に聞きます。

フィルムとデジタルの混在

婚礼撮影では、基本的にFujifilm GFX 100Sを使いますが、特定の場面ではフィルムを混在させます。挙式の静かな場面や、披露宴の終わりの時間帯など、ゆっくりとした空気の中ではフィルムの質感が合います。フィルムは一枚ごとに意識的にシャッターを切る必要があるため、撮影者の集中力が上がるという効果もあります。

セレクション作業の進め方

撮影後のセレクション作業は、クライアントと一緒に行います。数百枚の中から最終的な一枚を選ぶ作業は、撮影者だけが行うべきではないと考えています。クライアントが「これは違う」と言える関係を最初から作ることが、最終的な一枚の質を決めます。セレクションには通常2〜3時間かかります。

婚礼写真は、その日に実際に起きたことの記録です。演出された場面ではなく、その日の空気を残したい方は、ぜひご相談ください。